第18回:幼児におきやすい足の病気と対策
赤ちゃんの処女歩行である「よちよち歩き」は実はとても理にかなった安全運転。
けれど、そんな「よちよち歩き」にもたくさんの危険が潜んでいます。今回は幼児期におこりやすい足の病気と、その対策についてご紹介します。
よちよち歩きは安全第一!?
赤ちゃんの処女歩行ともいえる「あんよ」は、両足を開き気味にして、お尻を落とした姿勢で前に進む歩き方。後に転ぶときはお尻が先に落ち、前に転ぶときは膝が曲がって四つんばいに…と、実はものすごく安全運転な歩き方です。
この頃の赤ちゃんの足は「縦アーチ」も「アキレス腱」もまだまだ未成熟ですので、いざ歩くときも足を引きずって、体を捻って歩きます。縦アーチとアキレス腱は、踵を持ち上げて体重を踵から前足部に移動し、踏み返しによって更に重心を持ち上げるという、効率的な人間の二足歩行の最も重要な運動を担っています。この縦アーチとアキレス腱の成長こそが、幼児と歩行における重要なポイントと言えるでしょう。
成長に伴い片足で体重を支え、バランスが取れるようになると、踵を持ち上げ、縦アーチを介してアキレス腱の力を前足部に伝えられるようになり、前足部だけで体重を支えられる様になってきます。そうすると、踵が地面についてから足底全体が地面に着き、踵を離して踏み替えし…と言う、大人の歩行が出来るようになっていきます。
常に危険と隣り合わせ!?代表的な幼児の足の障害
赤ちゃんは誕生から幼稚園の頃までの数年の間に、人間が3億年もの長い長い時間をかけて経験した変化を、短時間で復習します。その間、縦アーチの頂点に位置する要石の舟状骨と、アキレス腱に引っ張られる踵には強い負担が掛かるので、障害を起こしやすい箇所です。
幼児期における代表的な足の障害として「ケーラー病(舟状骨の無腐性壞死)」と「シェイファー病(踵骨大結節の骨端症)」が挙げられます。いずれも成長過程において過大なストレスが掛かった為に、一時的な血行障害が生じ、圧潰や分裂を来すものと考えられています。
幸いなことに、これらの障害は一過性の痛みを生じたり、結構派手なX線写真の変化を起こしたりしますが、最終的には後遺障害を残さず完治します。子供の足の成長は個人差が大きい上に、社会的環境と肉体的発達のバランスによっては思わぬオーバーユースが働く事があり、成長障害を起こす危険性は常に存在することを忘れてはいけません。
子供の足の発育にとって、大地とのインターフェイスとなる靴は、栄養や教育と同じくらい大切なものです。子供の足をオーバーユースや怪我から守るためにも、成長に合わせた靴を選んであげてくださいね。