第五回:扁平足は悪いこと?
扁平足(へんぺいそく)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
医学用語と異なった意味で使われることも多く、実はよくわからない人も多いかもしれません。偏平足は本当に悪いことなのかを見ていきましょう。
そもそも扁平足って?
濡れた足あとを見て、土踏まずがないと「扁平足だ」とか「ベタ足だ」なんて言葉を耳したことはありませんか?
昔から偏平足は「疲れやすい」とか「走るのが苦手」「腰痛、肩凝りの原因」など、良くない印象を持たれている方が多いですよね。さらに極めつけは「地面からの衝撃が頭に直接響くので、知能の発育にも悪影響がある」なんて言われてしまうことも。
ですが、医学的には「扁平足」とは足の縦アーチが低い変形のことを指す言葉。足あとに土踏まずがないことと、扁平足は関係がないんです。その証拠に足を鍛えている力士や、スポーツ選手の足あとは土踏まずがないし、健康な赤ちゃんにも土踏まずはないんです。
悪い偏平足と、悪くない偏平足
医学的に「扁平足」と診断されるようなケースでも、実際には症状のないことがほとんどです。ごくまれな先天奇形を除けば、若年者、青年期の扁平足は無害と言い切ってもいいほど。もちろん、扁平足が知能や体力の発達に悪いと言う医学的根拠はありません。
ですが、中・高年になって起こる扁平足には要注意!単純な老化のほか、外反母趾や慢性関節リュウマチ、後脛骨筋腱機能不全(PTTD)など聞き慣れない病気の兆候かもしれません。大切な歩行を障害し、生活の質が低下しまわないように、適切な診断、治療が大切です。
偏平足を予防する靴選び
最近は、市販の靴にも偏平足を予防するアーチサポートを組み込んだ物が見受けられます。
次回のコラムで詳しくご紹介しますが、市販の靴では偏平足を矯正すると言うよりは、老化による変形の進行を抑制する程度にしましょう。選びかたのコツは、履いてみて・歩いてみて気持ちの良い、無理のない靴を選ぶと安心です。