第17回:幼児と足の成長
赤ちゃんの成長は進化と同じ?
赤ちゃんの成長は「人間の進化の歴史」そのものを繰り返すと言われています。
お母さんのお腹の中で、水中の魚と同じ無重力の状態で誕生した小さな生命は、出産後に重力に対抗する術を覚え、数ヶ月後にはハイハイで四足歩行を経験し、さらに1年ちょっとで二足歩行を始めるまでに成長します。
これらの赤ちゃんの成長は、人間の進化の歴史とそっくりです。私たちの最初の祖先は、およそ30億年前に単細胞生物としてこの地球に発生しました。それから陸上に上がり、四足歩行が出来るまでに進化したのは、ようやく今から3億年前のこと。さらに二足歩行が出来るようになったのは、今から約300万年前のことです。
この30億年にも及ぶ長い長い進化の過程を、赤ちゃんは妊娠から出産そして処女歩行にいたるまでの、たったの2年余りで復習するのですから、大変です。
足の成長はサイズが大きくなるだけ?
そんな赤ちゃんの「歩行」は「処女歩行からオムツの取れるまでの時期」と、その後の「シームレスでリズミカルな歩行が完成する時期」に大別されます。
まだ生まれてから処女歩行までの足は、足底部の脂肪も柔らかく、アーチも未発達。足の指の動きも、開いたり握ったりと手と変わりません。赤ちゃんの足の成長は、単に足のサイズが大きくなるだけではなく、骨が形成されていく大事な時期でもあるんです。
赤ちゃんは生誕時、足の骨でしっかりと形成されているのは、足首の真ん中にある距骨(きょこつ)と呼ばれる骨と、踵の骨くらいしかありません。成長に伴って、足の関節に続く骨(足根骨)が次々と形成されていき、成長の元となる骨端核もこの時期につくられます。
歩行から駆け足へ
立っちから片足を浮かせることが出来るようになると、いよいよ「あんよ」が始まります。両足を開き気味にして、膝と股関節を屈曲し、お尻を落とした姿勢で前に進む赤ちゃんらしい歩行です。
そうして、オムツが完全に取れる頃には、O脚だった膝もX脚気味になり、骨も筋肉も丈夫になってきます。
それまでは一歩一歩、力ずくで足を前に出し、体重を移してその足に乗せ、体重の掛からなくなった足を持ち上げて前に出す、という歩行だったのが、まるで大人の様に歩けるように成長していきます。
次回のコラムでは、幼児におきやすい足の病気と、その対策をご紹介します。