第10回:大人の足の障害を予防するために
今回のコラムでは、前回ご紹介した「大人の足の障害」と、その対策ついてご紹介します。
くるぶしが痛い?足の腱鞘炎かも!
足や、足の指を動かす筋肉は、どこにあるのでしょう?
実はこれらの筋肉の多くは「足」そのものではなく下腿にあり、筋肉の動きを「腱」で伝えることで足を動かしています。そうした腱の中でも、足のアーチに動きを伝える腱のことを、聞きなれない言葉ですが「後脛骨筋腱(こうけいこつきんけん)」と呼びます。
この後脛骨筋腱は、くるぶしにある足根管と言うトンネルの中を通っていて、歩くたびに少しずつ擦られ、傷ついていきます。そして中高年になると、足の腱鞘炎を起こして腱が切れ、力が伝わらなくなることがあります。
これを「後脛骨筋腱機能不全(PTTD)」と言います。
PTTDはまず、くるぶしが腫れて痛みを感じるところから始まり、病状が進むと扁平足や、踵の外反、前足部が外側に曲がる外転、外反母趾、開張脚などたくさんの足の障害が現れてしまいます。すると「かかと」「足の親ゆび」「足の小ゆび」の三本の柱で支えられていた足のテントが内側に倒れるように崩れてしまい、歩くのも難しくなってしまう怖い病気です。
大人の足の障害を予防するために
「ウオーキング」「ジョギング」「ランニング」は、中年からの健康増進に最適な運動です。
けれど、これからは少しだけ「足の障害を防止する運動」にも目を向けてみませんか?
特に運動には自分の体力と技能に見合った靴えらびが大切です。
足の鍛錬は「足の裏のクッション性の補強」「足関節とMTP関節の踏み替えし運動の軽減」「足の縦アーチの強化」がポイントになってきます。
そこで運動用の靴を選ぶ際には、軽さやグリップ性などのスポーツ・ギアーとしての性能だけを求めるのではなく、体力や負荷を考え、足を護る事も検討してみてください。
例えば、運動靴えらびのポイントとして
・ロッカーボトムなどの踏み返しを補助するアウトソールの形状
・足底のクッション性を補強するインソールやヒールカップ
・縦アーチの剛性を補うシャンクや硬い厚めのソール
・アキレス腱を圧迫しないかかと周りの工夫やヒール高
などが重要になってきます。
ですが、これらの中には相反する要素もあるので、一概に「これが正解!」というものではありません。自分の体力、技能に合わせた靴を選び、履き分けられると足の保護につながります。もし、靴選びに迷ったら、店員さんや専門家に相談してみるのもいいかもしれません。