dr-inokuchi

足に関する疑問・質問

足は生活するうえでとても大切な役割を担っています。
しかし普段は歩けるのが当たり前で
余り注目されない部分でもあります。

病名について 症状から 子供の足 外反母趾 糖尿病の人の足

病名から

(詳しい説明の表示:をクリックして下さい)
【踵骨棘】踵骨が出てきて、歩くたびに踵が痛く、市販のアーチを購入し、靴の中に入れていますが、症状は変わりません。一度、整形外科をたずねたのですが、扁平足が原因と診断されました。骨を削る手術ってあるのでしょうか?炎症をおさえる、クリームを塗っていますが、効きません。最近では、もう片方の足も痛くなってきました。(会社員 女性 45歳) 整形外科でレントゲン写真を撮って踵骨に骨の棘が出てきていると言われることがあります。踵骨棘と言う病気ですが、痛みが朝起きての数分間でしたら自然に治りますから(3ヶ月から3年)そのまま放置しましょう。手術を必要とする人は千人に一人もいません。歩いているとひどくなる痛みでしたら、市販のヒールカップと言う踵のクッション材を試して下さい。踵の硬い靴やサンダルは避けましょう。
【強直母趾】 NHKの【健康ほっとライン 外反母趾の治療】のなかで外反母趾によく似た症状で強直母趾の話がありましたが、私も以前、整形外科で外反母趾と診断され、外反母趾用の靴を履いています。しかし症状は依然として改善されません。強直母趾の症状のように、正座から立ちあがるときに強い痛みを感じます(指が反り返ったとき)。今回のテレビで初めてこの病名を知りましたが、治療法はあるのでしょうか? また強直母趾と診断された場合、外反母趾用の靴は履き続けてよいものでしょうか? 外反母趾から強直母趾にかわっていくこともあるのでしょうか? 私は現在、足の親指の付け根の骨が真上に飛び出ています(少し外側にも飛び出ている)。(主婦 56歳) 強直母趾の特徴は、母趾の踏み返し(趾を背屈(反らして)体重をかける)で母趾の付け根の関節(MPT関節)の背側に激痛が走り、MTP関節の背側に骨の出っ張りを触れ、背屈できる角度が小さくなります(可動域の減少)。靴を履かない方が痛い、痛みがMTP関節の背側で内側でない、母趾が小趾側に曲がったり内側が飛び出てはいないのが外反母趾と異なります。強直母趾の本態は、変形性関節症と言って、年を取った方が膝に水がたまるのと同じ病態です。治療は母趾を背屈しない、踏み返しをしないことなので、底の硬い曲がりにくい靴を履いたり、その上でメタタルザ-ル・バー(中足棧)やロッカーボトムを整形外科で処方してもらいましょう。以上で治らない場合や、和式で足袋の生活やスポーツや武道で背屈がどうしても必要な場合には、骨棘の切除と一部斜め関節切除術の適用になります。重症で関節面の軟骨が無くなっている例では、関節固定術ないしは人工関節(限られた症例のみ)の適用になります。底さえ硬くて曲がりにくければ、外反母趾用の靴でもかまいませんが、それで治ったり痛みが軽くなることはありません。強直母趾と外反母趾の原因は別なので移行することはありません。強直母趾の患者は関節が硬いので外反母趾にはなりにくいと言って良いでしょう。
【モルトン神経腫】右足薬指内側の感覚が鈍く、長く歩くと(靴にもよりますが)指全体が痛くなります。それが中指の外側(薬指側)にも広がった感じがします。時々靴を履かない時でも痛むことがあります。(会社員 女性 35歳) モルトン神経腫のはじまりでしょう。第3第4中足骨の骨頭間(ゆびを背屈させた時に足底に最も出っ張るところ)を押すと、趾に痛みが走ります。ひどくなると、歩行時に焼けるような痛みが走ります。靴底の先が斜めにカットされたウォーキング・シューズか、靴底が硬くゆびのつけ根で曲がりにくいパンプス(シャンクが強く長い靴といってみてください)を履いてみて下さい。靴を手でもって前の方を曲げたとき、ぐにゃっと曲がるようではだめです。ゆびのつけ根での幅が狭い靴も禁物です。ステロイドと言う薬を注射すると良くなることがありますが、副作用もあり何度も使えません。どうしても治らなければ手術的に切除します。但し、神経腫と言っても本当の腫瘍ではないので、命に別状はありません。
【内反小趾】小指の骨が親指側に曲がってきてしまいました。あたるととても痛いので、整形外科にいきましたが、レントゲンをとるのみで、治療はしてくれませんでした。どこか、専門に見てくれる病院をさがしています。(女性 24歳) 外反母趾の反対で、内反小趾と言います。外反母趾ほど目立たないので、受診する人は少ないのですが、痛む人は外反母趾以上に多いようです。治療は胼胝や魚の目で痛いか、小ゆびのつけ根の関節(MTP関節)が当たるのか、爪が第4趾に当たるのかで違います。まずは、外反母趾と同様に、ゆびのつけ根の所で幅の余裕のある靴を買い、当たる場所を器具や薬で広げてもらって下さい。外反母趾と同様、重症例は手術が必要です。
【内反小趾_2】今年の2月頃からアルバイトでパンプスをはくようになってから、特に右足に痛みを感じるようになりました。このままではいけないと思って、幅の広い布製の靴を買ってはいたのですが、今度は反対側の小指の骨に激痛が走るようになって、ひきずるようにして歩かないといけなくなりました。見た目はそんなにひどくないので、整形外科に行っても今の時点ではどうこうするほどの足ではないと言われて、それでも痛いのでとても困っています。(大学生 女性 20歳) 足の小指が親指側に曲がって、つけ根の外側が靴に当たるのを内反小趾と言います。痛いところが小ゆびのつけ根ならば、この変形です。幅が十分でも、長さの短い靴を履くと小ゆびの先端やその外側が当たります。一度炎症を起こすと、ちょっとした圧迫でも痛みますから、あきらめて3週間ぐらいサンダルですごすのも一方です。ほかに、爪の障害や爪が第4趾に当たって痛むこともあります。
【内反小趾_3】両足小指にタコがあり、靴を履くと圧迫感があり痛む。両足裏の指先に近い部分(親指の下および人差し指と中指の間)の皮膚が硬くなっていて、靴を履くと痛む。(会社員 女性 32歳) 内反小趾と中足骨骨頭部痛です。足の横アーチが無くなり、足先が開き、第2,第3趾に荷重がかかる状態で開張足と言います。先が三角形の靴、短すぎたりつま先の低い靴は止めましょう。中足骨パッド付きのアーチサポートを試してみましょう。
【陥入爪】両足の親指の爪が剥がれ、その下に先端に向かって巻き爪状態の爪があらわれ、圧迫した窮屈な靴をはいたときは爪が食い込むようで痛く感じます。診察をうけたことはありませんが、軽度の外反母趾もあると思います。また、巻き爪・外反母趾ともに左右比べると左足の方が程度が重く、左足は中足骨骨頭部痛と思われる症状がときどきでます。(会社員 女性 29歳) 巻き爪と言うよりは陥入爪でしょう。原因の多くはきつすぎる靴を無理して履き、圧迫で爪の下に内出血した後、いわゆる爪が死んだ状態になり、新しい爪が下から再生した状態です。爪が2枚ある状態なので、今までの靴を履き続けると、圧迫が強くなり、再生した柔らかい爪が変形し、食い込みます。古い爪が残っているなら、ニッパー型の爪切り(千五百円位)で、浮いてしまった古い爪を丁寧に切り取って下さい。その上で、下の爪を皮膚から浮いた白い部分だけを真っ直ぐに切って下さい。爪の両脇が皮膚から離れるようになるまで続けましょう。その間、朝晩足を翌洗い、決して小さなきつい靴を履かないことです。
【たこ、魚の目】魚の目が両足の裏にあります。病院に行けばすぐに治るものなのでしょうか?たくさん歩くと痛いくらいで普段はあまり痛みません。(大学生 女性 21歳) 胼胝や魚の目は皮膚の角質層が圧迫により増殖した物です。従って、圧迫される場所、程度、形によって色々です。逆に魚の目の場所や形によって足の変形が診断できるほどです。ですから、皮膚科で一度柔らかくして取ってもらうと同時に、靴を選びなおしてみましょう。第2・第3趾のつけ根から細長い魚の目は、幅広の横アーチが沈んだ足で狭すぎる靴を履くと起こります。小ゆびの爪の外側、母趾の底の内側は先細の靴、ゆびの先端、背側の魚の目は小さすぎる靴(たまに大きすぎて足が前に滑る靴)に多いのです。靴を治してだめなら足の専門家に出っ張った骨を治してもらうしかないが、結構大変な手術です。
【繰り返し出来るたこ】右足の親指の付け根と、親指と人差し指の付け根の間にたこができて、靴を履いていなくても時々痛みます。以前、皮膚科で皮膚を柔らかくするテープを貼って剃刀の刃で削って治療して、半年くらいは何もできず調子がよかったのですがまた同じところに大きくなって同じ様なたこができました。靴は常にスニーカーを履いています。(主婦 30歳) 母趾が第2趾より短い人が外反母趾になるか、第2趾の第2番目の関節の骨が肥大している人が、狭い靴を履くと起こします。ウィズ(靴の幅)があっていて、先が三角でなく四角の靴を選んで下さい。履いたときに趾が自由に動く長さと幅、つま先の高さが決め手です。胼胝、魚の目の部分の両側にプラスチックのバンドエイドを貼って滑りやすくするのも効果があります。
【足底腱膜炎】足底腱膜炎は足底筋膜炎、踵骨棘ともいわれ、踵骨足底部に疼痛がある、中年の男性に多い。 立った時や歩く時などに足の裏が痛む。足に負荷がかかった時のみで、安静時には痛まない。初期では起床時あるいはイスに長時間座っていて立つ時、一歩目にズキッと痛みが走ります.。2,3歩歩くと痛みはスッと消失します スポーツ愛好家で足の裏に慢性の痛みがある人は足底腱膜炎の疑いがある。土踏まずを形成している腱などの集合体である足底腱膜に、使い過ぎによる細かい傷が発生することが原因。歩くのが苦痛になることも。特にスジの柔軟性が低下する中年世代に多い。痛む個所で多いのは、かかとのふくらみの前縁部(土踏まずに近い部分)。ここを指で押さえると圧迫痛がある。足の指を反らすと余計に痛む。原因で多いのはスポーツによるかかとの酷使。特にランニングやジャンプなどを繰り返す種目をする人に多い。長時間立っていたり、歩いたりする職業の人に出ることもある。炎症が進むと歩くのがつらくなる。スポーツを休んで患部を安静に保つのが第一。併せて痛みや炎症を和らげる消炎鎮痛剤を患部に塗ったり湿布を張る。超音波や低周波などの理学療法を行うこともある。仕事柄、立ったり歩いたりすることの多い人は、足にかかる負荷を軽減するために、かかとの部分を覆うヒールカップなどを装着します。柔らかいシリコーン製で歩行の衝撃を緩和できます。痛みの強い場合は、2、3週間をメドに内服の鎮痛薬が出る。効果のない場合はステロイドの局所注射を2,3回行うと大抵痛みは消える。以上のような処置をしても痛みがある場合は、一部を切除する手術をする。最近は内視鏡下で行う手術が登場してきた。入院は2,3日で済みます。退院の翌日は休んで次の日からサイズの大きいゆるい靴をはいて出社することも可能です。革靴がはけるようになるのは術後3週間ほどです。スポーツをする前は、立ってかかとを上げて足先にゆっくりと体重をかけるストレッチを両足2,3分ずつ行っておくと予防になる。扁平足など足の形に異常のある人は過度のスポーツは慎む。歩き方に独特のクセのある人は、土踏まずのアーチサポートや、かかとの傾斜を調整するヒールウエッジなどの装具を整形外科で入れると予防になります。また、シーズン初めの運動強度はゆるめにし徐々に強くしていくことも有効だ。
【アキレス腱周囲炎】全力疾走やジャンプで痛むのが初期症状 シーズン初めに多いスポーツ障害がアキレス腱周囲炎だ。足の使い過ぎで、アキレス腱の周囲に炎症が起ることが主因。走ることを伴う種目に発生しやすいが、慢性化するとアキレス腱断裂につながりかねない。進行すると歩行時にも痛む。久しぶりにスポーツをした数日後から、アキレス腱に沿った部分が痛み始める。初めは全力疾走やジャンプをしたとき、強く踏ん張ったときのみに痛む。初期の痛みはそれほど強くないのでスポーツを継続しがち。すると次は走っているときに常時痛むようになる。さらに悪くなると、普通の歩行や階段の上り下りでも痛みだす。そのときアキレス腱を押さえると硬くなっているのがわかり、圧痛があるのが特徴。アキレス腱部分がはれる場合もある。スポーツを休んで患部を安静に保つのが第一。安静にするとほとんどがよくなります。安静期間は重症度によって違いますが、2週間~3か月くらい。圧痛が取れるまでです。 入浴後にふくらはぎやアキレス腱部分をマッサージするのもよい。患部の血行がよくなり、萎縮が取れる効果がある。歩行時に痛みのあるケースでは消炎鎮痛剤や湿布薬を出します。また通勤時はウオーキングシューズなど、かかと部分の厚い靴を履くようにする。革靴の場合は衝撃緩和材の入った中敷きを薬局やスポーツショップで求めて敷く。重症で痛みが強い場合は2~3週間ギプス固定をする場合もある。いずれにしろ安静期間が短かったり、治療が中途半端に終わると再発しやすく、それを繰り返すと慢性化しやすい。慢性化すると治りにくくなり、患部が硬くなって、ダッシュなどの瞬発的なプレーで断裂する危険性が高くなります。スポーツをする前に、ふくらはぎやアキレス腱を伸ばすなどして入念なウオーミングアップを行う。終了時はいきなり終わるのではなく軽めの体操などをするクールダウンも有効だ。終了直後にアキレス腱付近のアイシングを行うと、使いすぎた部分の炎症が早く治まります。時間は5~10分で十分です。 シーズン初めの運動強度はゆるめにし徐々に強くしていくことも有効だ。
【扁平足】扁平足とは簡単に説明すると、土踏まずにあたる部分のタテヨコのアーチがなくなることをさします。 スポーツをやっている方で、土踏まずがないから扁平足ではないか、と悩む人が多く見受けられます。しかし彼らは足の筋肉が非常に発達しているだけで、心配する必要はありません。肥満気味のお子さんでフットプリント(あしがた)をとっても土踏まずが見られないことがありますが、これも必ずしも扁平足ではないのです。このアーチの役目は医学的に充分解明されているわけではないが、振動や体重のストレスを上部に伝えないための、クッションかサスペンションの働きをするものと考えられている。このアーチの頂上の部分の骨は舟状骨(しゅうじょうこつ)と呼ばれ、この部分と地面との距離が減じたものを医学的に扁平足という。外見上、土踏まずがなくても、体重をかけた状態でレントゲンを撮った場合、地面と舟状骨との間に距離があればそれは扁平足ではありません。
ではなぜアーチの働きに狂いが生ずるのか。その原因は、先天的な骨の異常の他に、足の筋肉が弱くなる、過度の肥満、靭帯がゆるむといったことが、複合的にからむためとされている。こうした素因を抱える人が、思春期に急激に体が成長したときやスポーツを始めたとき,進学、就職による生活環境の変化などによって発症するケースが多い。患者は足裏の中央部が疲れやすくなり、痛みを訴えることもある。その結果歩き方まで悪くなってしまう。
では、扁平足を予防するにはどうしたらよいのか。なかには土踏まずにあたる部分にアーチサポートのついた靴を履く人もいる。また足内筋を鍛えるために、足の指で床に落ちているタオルをつまむ運動を繰り返す人もいる。それぞれ悪いことではありませんが、どちらも万能といえるものではありません。むしろ幼い頃から裸足(はだし)で遊ばせるのが、足内筋を鍛えるのに役立ちますからお勧めします。
では、扁平足になってしまったらどうしたらよいか。アーチサポートのある靴を履いて矯正するのが、ひとつめの方法。また扁平足では踵の骨が外側に傾いているので,踵の内側にクサビ状の足底板をいれた治療用の靴を作ることもある。先天的な骨の癒合や、軽い脳性マヒなどの原因による患者には、アーチを彎曲させた状態をつくり、固定する手術をしなければならないケースもある。足に痛みを感じる人は自然と歩き方も悪くなって,その結果膝が痛くなったり腰が痛くなったり肩がこったりして、足以外の部位にも悪影響が出てきます。ただ扁平足の子は勉強ができないなどという俗説は、とんでもない誤解です。扁平足と知能程度は無関係です。また扁平足は遺伝する、という人もいます。これは親が肥満体なら、子も似たような体格になり、結果的に扁平足になってしまうという程度のもので遺伝ではありません。それでも、自分は扁平足ではないかと、悩む人がいるが、一定の目安としては、くるぶしの斜め下の一番出っ張っている部分の骨が他の人より低いか、また非常に出っ張っていて土踏まずがない場合は、一度健康診断をかねて専門医にご相談ください。
【離断性骨軟骨炎】 足関節が痛くなり受診したところ、離断性骨軟骨炎で手術が必要と診断されました。初めて聞く病名なのですが、どんな病気ですか? 「離断性骨軟骨炎」は「骨軟骨骨折」や「骨軟骨損傷」と言われる、関節の病気です。足関節では、踝(くるぶし)の間にある距骨の滑車と言う部分の関節軟骨が下の骨ごと剥がれてしまう病気です。1回の怪我で起こると「骨軟骨骨折」、怪我の覚えがなければ「離断性骨軟骨炎」、区別しなければまとめて「骨軟骨損傷」と言いますが、いずれにしても同じ病気です。「皹(ひび)」のような物から完全に離れてしまった物まで色々な程度があります。完全に剥がれて関節の中を動き回るようになると「関節鼡(ねずみ)」と言う病名になります。これは冗談ではありません。
【離断性骨軟骨炎は手術が必要?】 足関節が痛くなり受診したところ、離断性骨軟骨炎で手術が必要と診断されました。手術をしなければいけませんか? 離断性骨軟骨炎は関節軟骨が下の骨ごと剥がれてしまう病気です。症状としては荷重時、歩行時に足関節の奥の方に痛みがあります。痛みのため日常生活に困難があれば手術の対象です。スポーツ時のみに疼痛がある場合には、スポーツか痛いのをあきらめるか、手術をするかになります。痛みが無く、偶然発見された場合は手術せず経過を観察します。要は痛みの程度、頻度ですから、我慢できれば経過観察、出来なければ手術と言うことです。
【離断性骨軟骨炎には、どんな手術をするの?】 足関節が痛くなり受診したところ、離断性骨軟骨炎で手術が必要と診断されました。どんな手術をするのですか? 程度や範囲に応じて4種類の手術があります。手術法の決定は非常に難しいので、どれを選ぶのかは、手術をしてもらう先生に聞いて下さい。
  1. 摘出術:剥離した骨軟骨片を取り出す手術。
  2. ドリリング(穿孔術):剥離した骨軟骨片を貫いてドリルで下の骨まで幾つかの孔を開け、骨傷を新鮮化し刺激して、下の骨と遊離した骨軟骨片を癒合させる手術。
  3. 骨軟骨片固定術:剥離した骨軟骨片を貫いてドリルで下の骨まで幾つかの孔を開け、その孔に骨釘(他の所から採取した自分の骨を釘上に形成する)や、可溶性のプラスティックの釘を打ち込み、下の骨と遊離した骨軟骨片を固定する手術。
  4. モザイク(骨軟骨複合遊離移植):悪くなった骨軟骨片や下の骨を削り取って、膝などの他の関節から棒状の骨付き軟骨をモザイク状に移植する。
1)2)3)は骨軟骨片の場所により関節鏡で覗きながらやる鏡視下手術が可能です。一般的には1)か2)で、3)が出来る病院は限られ、4)はごく特殊な病院になります。
離断性骨軟骨炎の原因となる靱帯損傷がある場合には、靱帯形成術も同時にやる必要があります。
【離断性骨軟骨炎の術後は?】足関節が痛くなり受診したところ、離断性骨軟骨炎で手術が必要と診断されました。手術の後の治療とその期間について教えて下さい。 離断性骨軟骨炎は手術3分に術後が7分と言われるほど術後の治療が難しい疾患です。要点はなるべく長期に体重を掛けず、なるべく早期から動かすことです。「体重を掛けるな」と指示すると、じっとしていて関節を動かさず、「早く動かせ」と指示すると、始めから足をついて体重を掛けてしまう患者さんが多く、簡単なようで難しいものです。いつから体重を掛け、いつから松葉杖を外して荷重歩行を許可し、いつからスポーツを許すかが大変重要で難しい判断です。この判断は患者の身体状況、活動状況、病気の範囲、程度、経過、手術時の所見、手術法や範囲、程度と多くの因子によって変わるので、手術した医師しか判断が下せません。本当を言うと、手術した医師にも正確な時期が分かるわけではないので、術後に患者を診察し、X線学的を見ながら調節していくのです。術後の期間は、一般的な摘出術やドリリングと言う手術で、6ヶ月近くかかりますが、外来通院は術後1週、2週、6週、3ヶ月、6ヶ月、1年の6回程度ですから、必ず手術をした医師の治療を術後も受けて下さい。
【捻挫の処置】捻挫でよかった?「骨折はありませんね。捻挫ですよ」「よかった。2,3日で治りますね」 これは,日常、診察室でよく聞かれる会話である。しかし、「1ヶ月も経つのに、まだ痛みがとれません。前の医者は単なる捻挫だと言ったのですが」という苦情もよく耳にする。このように、捻挫といっても、二度と顔も見せない患者から、医者を転々としたあげく、民間療法に走る患者までいる。医者にとって捻挫は、関節の軟部支持組織の損傷であり、骨折より治りにくいこともある。しかし、患者は、捻挫なら骨折より簡単で治りも早いはずと考える。したがって、レントゲンで骨折がないから、捻挫というだけでなく、必要に応じて靭帯損傷など詳しく診断し、治療や予後について説明することが、捻挫の処置の第一歩である。
捻挫の診断受傷機転から損傷部位を推定し,疼痛、腫脹、圧痛、運動痛、関節の不安定性、皮下出血、関節血腫などから、靭帯や他の支持組織の損傷を診断する。特に不安定性は、捻挫の程度の診断に重要である。捻挫を程度により軽度、中等度、重度にわける。
  • 軽度:靭帯が伸びた状態、不安定性がほとんどない。
  • 中等度:靭帯の部分断裂、不安定性がある。
  • 重度:靭帯の完全断裂、不安定性が著名。
一般的処置 捻挫の初期に重要なのは、損傷を拡大せず、腫脹を防ぎ、瘢痕形成を最小にすることである。これにはICE処置(Ice-氷冷、Compression-圧迫、Elevation-高挙)、またはRICE処置(Rest-安静、Ice、Commpression、Elevation)が有用である。軟部組織の修復には3週間かかるので、その間は何らかの固定を行う。断裂した靭帯の修復には6~9週間のギプス固定が必要である。
足の捻挫 尖足内反位での損傷が多いので、前距腓靭帯、踵腓靭帯、二分靭帯、短腓骨筋腱の第5中足骨付着部など外果周辺の損傷が多い。片足で立てれば,ICE処置を2日間行い、3週間弾性包帯、テーピングなどで固定する。(末梢部の循環障害を予防するために、アンカー部を除いて、全周には巻かない。)立てなければ,ストレスレントゲンで検査をし、1週間はギプス副子で固定し、ICE処置を行う。腫脹が引いたのち、重度例は5週間、中等度例は2週間ヒール付き膝下ギプスを巻く。重度例で、日常生活に支障がないだけでは不満足なスポーツ選手などには、手術の適応もある。
膝の捻挫 強い力で外反され、内側側副靭帯が損傷することが多い。不安定性のない軽度例では、ICE処置を1週間、弾性包帯などの固定を2週間行う。不安定性がある場合には,単独の不全断裂から半月版損傷と前十字靭帯断裂を合併した例までいろいろなので、ストレスレントゲン、関節造影、関節鏡などの検査が必要である。不全断裂と分かる症例には、3~6週間シリンダーキャストで固定する。完全断裂は早期手術が必要なので、ギプス副子で固定して専門医に紹介する。
指の捻挫 PIP関節では側副靭帯、掌側腱板が、母指MP関節では尺側側副靭帯が損傷しやすい。軽度例はアルミ副子で軽度屈曲位に2,3週間固定する。不安定例では、脱臼の自然整復が多く、靭帯の断端が関節内に陥入した症例は手術を要するので,専門医に紹介する。指では腫脹を防ぐことが特に重要である。初期から患肢全体を1回10分、1日数回挙上し、固定除去後も過度な他動運動はさける。
まとめ 「足首を捻挫すると、骨折より始末が悪い。」(Watoson-Jones,1940)これは、患者がよく口にし、医者にはいやな言葉である。