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第15回  外反母趾を予防する靴

外反母趾の原因

外反母趾の原因には、遺伝、女性、ハイヒールの三つが挙げられていますが、本当のところは良く分かりません。私の経験から、ハイヒールを履く人が外反母趾に成り易い、一度外反母趾なるとハイヒールを履くのを止めても外反母趾が進行すると言う二点に注目して、原因を考えてみました。 結論は、「母趾が外反するから、外反母趾になる」でした。「当たり前だ」と叱られそうですが、母趾が外反位にあると、歩くという日常動作で、母趾の外反が増悪するのです。逆に言うと、最初のきっかけとなる母趾の外反を防止できれば、遺伝的に外反母趾に成り易い女性でも外反母趾の予防が可能となります。

きっかけとなる母趾の外反

最初の母趾の外反は、先天性(若年性外反母趾)に起こる事もありますが、普通はハイヒールやパンプスが原因です。靴先は多かれ少なかれ外側に向かって傾斜(外ぶれ角)しています。人間の母趾外反角は、普通5度から10度ですが、ハイヒールやファッショナブルなパンプスでは外ぶれ角が30度を越える事も珍しくありません。普通の人が、パンプスやハイヒールを履いたら何が起こるでしょうか。ご覧のように、靴に押されて母趾は外反を強制されます。この様に、きっかけとなる最初の母趾の外反は、外ぶれの靴によって起こります。

きっかけとなる母趾の外反    

最初の母趾の外反は、先天性(若年性外反母趾)に起こる事もありますが、普通はハイヒールやパンプスが原因です。靴先は多かれ少なかれ外側に向かって傾斜(外ぶれ角)しています。人間の母趾外反角は、普通5度から10度ですが、ハイヒールやファッショナブルなパンプスでは外ぶれ角が30度を越える事も珍しくありません。普通の人が、パンプスやハイヒールを履いたら何が起こるでしょうか。ご覧のように、靴に押されて母趾は外反を強制されます。この様に、きっかけとなる最初の母趾の外反は、外ぶれの靴によって起こります。

きっかけとなる母趾の外反    

ちょっと難しい話をしましょう。高校の力学の授業で習ったベクトルを思い出して下さい。 外反母趾角が30度に成るハイヒールで歩くと、踏み返しで母趾には外反ベクトル、第1中足骨には内反ベクトルが生じます。 屈筋腱は中足骨軸に並行で、MTP関節の回転軸は直行します。屈筋力の回転軸に直行する分力(回転ベクトル)は屈筋力の√3x1/2、回転軸に平行で外反方向に働く分力(外反ベクトル)は屈筋力の1/2となります。踵が床から離れれば全体重が母趾に掛かるので、屈筋力は全体重を支えるのに必要な大きさの2/√3倍になり、母趾を外反させる力は屈曲力の1/2となるので、全体重を支えるのに必要な大きさの1/√3倍になり、相当強い外反力が働くことになります(Fig_2)。 また、MTP関節の回転ベクトルは中足骨骨頭を押すので、更に第1CM関節の回転ベクトルと中足骨の内反ベクトルを生じます。これらのベクトルは中足骨を内反、屈曲します。 余りにも大ざっぱな解析ですが、ハイヒールの中で母趾が外反位になったまま歩くと、相当大きな母趾外反ベクトル、中足骨内反ベクトルを生じ、第1中足骨内反、母趾外反という病的形態が進行し、外反母趾が固定化することに疑いはないでしょう。

外反母趾にならない靴

外反母趾にならない靴の条件は
1)母趾が内側から押されない
2)母趾が前から押されない
3)第一中足骨内反を抑える
事です。真っ直ぐな母趾が素足の時に外反することはありません。だからといって、靴を履かずに外出する訳にはいきませんから、この条件に即した靴を選ばなければなりません。
1) 先端(ポイント)が母趾側に寄っていて、外振れ角が10度以下の内振れの靴。スクエアーの靴。履いた時に母趾が横から押されない靴。(図3)
2) 足が前に滑らない靴。ハイヒールではヒールが5cmまで、斜台の前端が趾の付け根、MTP関節と後端が踵の前端と位置が合い、足と靴のカーブと合っていて、ストラップがあり、中敷きが滑りにくい。
3) ボールガース、インステップガースが合っていて緩みがない靴そんな靴が見つからない場合は、おしゃれな靴を履く時間をなるべく短くしてください。