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第18回  男性に多い足の病気・悩みと対策

良く聞く悩み

幸せな事に男性の靴の悩みは少ないようです。外反母趾などの足の病気も女性に多く、靴による障害も同様です。例外的に男性から良く聞く悩みは、水虫と足の臭いです。 水虫は正確には白癬菌症と言って皮膚糸状菌(白癬菌)というカビの感染症です。白癬菌はケラチンという蛋白を栄養源に生きているカビですので、皮膚の角層(垢となって落ちる体表を覆う皮膚)などケラチンがある場所であればどこにでも感染します。足に生ずるのは足白癬と言われ水虫とも呼ばれ、爪に感染したものが爪白癬です。俗に、股の白癬はインキンタムシ、髪の毛の白癬はシラクモ、体に生じた白癬はゼニタムシと言われます。 5人に1人は足に水虫があり、10人に1人は爪白癬だと言われていますが、夏になると増加し、年を取ると増えます。足の水虫には、足裏の小水疱型(汗疱型)と趾間の皮が剥けたり、ふやけたりする趾間型があります。暖かくなると症状がでて、涼しくなると自然に症状が治まってきますが、必ずしも痒いとは限らず10%程度に過ぎませんし、爪白癬は痒くありません。逆に足が痒くても水虫で無い人も少なくありませんから、正確には白癬菌がいる皮膚をとって、苛性カリ(KOH)で角層を溶かし直接顕微鏡で観察します。これによって白癬菌が見つかれば水虫で、見つからなければ水虫ではありません。 女性の方が気にして来院するので、病院での統計では男女に差がありませんが、水虫の原因は白癬菌が長期間付着することなので、靴を履き続けるサラリーマンの方が、サンダルや素足でいる主婦より感染率が高くなっています。しかし、最近は女性の社会進出が進み、1日中靴を履く様になったので、女性にも水虫が増加しています。

毎日同じ靴を履かないのが一番

では水虫にならない様にするのはどうしたら良いでしょうか。水虫患者の家庭の足拭きマットには100%白癬菌がいますが、足に付着しても足が乾燥すれば白癬菌は無くなります。しかし、白癬菌を付けたまま、靴下・靴を長時間履くと、水虫になります。そして水虫になった人が、感染源になり、家庭内に白癬菌をばらまき家族内感染を起こします。ですから、誰かが水虫になった一家総出で水虫の退治をするしかありません。水虫は抗真菌剤の塗り薬を最低4週間毎日治療を続けないと治りませんが、良くならない場合は、水虫でないかもしれません。 では、靴はどうしたら良いのでしょうか。靴を洗って白癬菌を取り除き、しっかり乾燥させ、毎日同じ靴を履かないのが一番です。できればサンダルのような風通しがよい靴を履くようにし、家では裸足、会社に着いたらサンダルに履きかえて、なるべく足を蒸らさない様にしましょう。 次に多いのは足の臭いに関する悩みです。手に汗握ると言う言葉がありますが、足裏にも汗をかきます。この汗がにおうと思っている人が多いのですが、わきがの原因になるアポクリン腺は足にはありません。足裏の汗を出すアポクリン腺は他の汗と同様本来は無臭の物です。しかし、靴の中には剥奪した皮膚の角質(垢)や皮脂が溜まり、汗で湿ると雑菌が分解してイソ吉草酸ができて臭います。抗菌、坑臭のインソールから5本趾靴下まで色々あるが、裸足にサンダルにはかなわない。

「ナポレオンの卵」とも言うべき靴

水虫も足の臭みも正解は裸足にサンダルだが、女性軍のサンダルに生足は社会に受け容れられてもサラリーマンの男性諸君には難しい。通気性、透湿性があって防水性もあると言う素晴らしい靴も宣伝されているが、「矛盾」を絵に描いたようで、効果のほどは、もう一つである。水の入らないサンダルと蒸れない長靴は作れないというのが私の持論であったが、最近、「ナポレオンの卵」とも言うべき素晴らしいサラリーマンが履ける蒸れない靴が発明された。防水性と通気性が両立しないならば、発想を転換して・・・・・と言う靴であるが、サンダル機能を持ったサラリーマンの革靴とも言える。今年の夏は、水虫対策、足臭対策の特効薬として「何だ」とは言わずに試したい一品である。

「ナポレオンの卵」とも言うべき靴